チームの目標をどこに置くのか

指導者として新チームがスタートするとき、真っ先に考えるのが「目標をどこに置くか」です。しかし、ここでよく次のような失敗が起きます。

1. 背伸びしすぎた目標(例:実績のないチームで「全国制覇」)

👉 選手が「どうせ無理」と感じてしまい、自分ごとにならない。

2. 安全すぎる目標(例:少し頑張れば届く「初戦突破」)

👉 達成感やスリルがなく、日々の練習に緊張感が生まれない。

チームの目標は、「ちょっと頑張れば届く夢」ではなく、「全員が本気で手を伸ばせば届く現実的な挑戦」であるべきです。

1. チームの実情(現在地)を客観的に見立てる3つの指標

目標をどこに置くかを決める前に、まずはチームの「現在地」を冷徹かつ温かい目で見極めます。

 ① 選手層と技術的アドバンテージ

 投手力・守備力・走力など、勝負できる強みはあるか?

 ② チームのモチベーションと熱量

 選手たちが「本気で勝ちたい」と思っているレベルはどこか?

 ③ 練習環境と時間的制約

 週に何日、どのような環境で練習できているか?(環境に見合わない過大な目標は選手を追い詰めます)

2. 目標レベルの選び方(目安とアプローチ)

実情に合わせて目標を設定する際の具体的な考え方です。

Pattern A:「全国大会・上位進出」を目標にすべきチーム

 実情: 基礎技術が高く、選手層も厚い。昨年度も一定の成績を残している。

 狙い: 高いプレッシャーの中で細部にこだわる意識を育てる。

 ポイント: 「全国」という言葉に呑まれないよう、「全国で1勝するために必要な日々の守備率・打率」など数値を具体化する。

Pattern B:「県大会出場・ベスト8」を目標にすべきチーム

 実情: 地区大会は突破できるが、強いチームと当たると壁を感じる。

 狙い: 「勝ち方の味」を覚えさせ、1試合ごとの成長を実感させる。

 ポイント: 「県大会でベスト8に入るために、地区のライバル〇〇中学(チーム)に勝つ」といった具体的なターゲットを作る。

Pattern C:「地区大会初戦突破・まずは1勝」を目標にすべきチーム

 実情: 初心者が多い、人数がギリギリ、まだチームとしての形ができていない。

 狙い: 野球の楽しさと「勝つ喜び」を知り、チームの一体感を作る。

 ポイント: 勝敗だけでなく「全員が出塁する」「ノーエラーで1イニング終える」といったプロセスの成功体験を重視する。

3. 指導者が押し付けず「自然に決まる」ためのアプローチ

目標は「監督が決めて発表するもの」ではなく、「選手たちが自分たちで選んだと感じられるもの」にするのが理想です。

 ステップ1:指導者からの「問いかけ」

 「この1年、どんなチームになりたい?」「最後にどんな景色が見たい?」と選手に問いかける。

 ステップ2:本音のすり合わせ

 選手だけで話し合わせた後、指導者の見立て(現在地)と照らし合わせる。

 ※もし選手が「全国」と言い、指導者から見て厳しい場合は、「全国に行くためには明日からどんな練習が必要か覚悟を持てるか?」と説得ではなく覚悟を問う。

 ステップ3:目標の「二段階設定」を活用する

 【メイン目標】(例:県大会ベスト4)

 【チャレンジ目標】(例:全国大会出場)

 二段階にすることで、現実的な指標を持ちつつ、夢も捨てないしなやかなチームを作ることができます。

まとめ:目標は「チームを育てるための道具」

全国大会でも、県大会でも、地区の1勝でも、どれが偉くてどれが劣っているということはありません。

大切なのは、その目標に向かって選手たちが毎日「今日も一歩近づいた」と実感しながら成長できるかどうかです。今のチームの背中にそっと風を送り、一番遠くまで走れる場所——そこが、そのチームにとっての「最高の目標設定」です。

\ 最新情報をチェック /

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました