練習試合の組み方。強いチームとすればいいわけではない!

試行錯誤の2年間

練習試合を組むとき、指導者はどんなことを考えているでしょうか。

強いチームと試合をしたい。

有名なチームと対戦したい。

自分たちの力を試してみたい。

もちろん、そうした考えも大切だと思います。

ただ、私は練習試合を組むときに、相手の強さだけで判断するのは違うと思っています。

練習試合は、試合をすること自体が目的ではありません。

大会に向けて、チームをどう成長させるか。

そのために、どんな相手と、どのタイミングで試合をするのか。

ここに指導者の考えが出てくると思います。

① 大会の日程から逆算して考える

まず大切なのは、大会の日程です。

大会まであと1か月なのか、あと1週間なのか。

それによって、練習試合の組み方は変わってきます。

大会まで時間がある時期なら、いろいろなことを試すことができます。

普段出場機会の少ない選手を使ってみたり、守備位置を変えてみたり、走塁や攻撃の作戦を試してみたり。

失敗しても、そこから修正する時間があります。

一方、大会が近づいてきたら、少しずつ本番を意識した試合にしていきます。

先発投手や守備の中心をどうするのか。

打順や作戦はどうするのか。

終盤の守備固めや代打の使い方はどうするのか。

大会で起こりそうな場面を想定しておくことが大切です。

ただ試合数を増やすのではなく、大会までの時間を考えて、練習試合の目的を変えていくことが必要だと思います。

② 自分たちの実力に合った相手を選ぶ

練習試合の相手を考えるとき、ここも大切なポイントです。

強いチームと試合をすれば、必ず成長できるのでしょうか。

私は、そうとは限らないと思います。

実力差が大きすぎると、試合の中で自分たちのやりたいことができなくなる場合があります。

投手は打ち込まれ、守備は長い時間守り続け、攻撃ではなかなかチャンスを作れない。

これでは、課題を見つける前に試合が終わってしまうこともあります。

もちろん、強いチームとの対戦には大きな意味があります。

自分たちに足りないものを知ることができますし、普段経験できないスピードや技術を体感することもできます。

ただ、そればかりではいけません。

自分たちの力を発揮できる相手。

少し頑張れば勝負になる相手。

今の課題を試すことができる相手。

そうしたチームとの対戦も必要です。

強い相手と試合をすることと、チームを成長させることは、必ずしも同じではありません。

③ 勝てる試合も必要になる

私は、練習試合の中には、選手に自信を持たせる試合も必要だと思っています。

いつも強い相手とばかり対戦していると、選手は自分たちのプレーに自信をなくしてしまうことがあります。

特に中学生は、気持ちの部分がプレーに影響することも少なくありません。

打てない。

守れない。

勝てない。

そんな経験が続けば、思い切ったプレーができなくなることもあります。

だからこそ、自分たちの力を発揮して勝つ経験も大切です。

ただし、簡単に勝てる相手を選べばよいという話ではありません。

普段練習していることが試合でできた。

自分たちで考えて得点できた。

最後まで集中して守り切れた。

そうした成功体験を積み重ねることに意味があります。

勝つことで得られる自信も、選手を成長させる大切な材料です。

④ 練習試合の中で何を確認するのか

練習試合を組むときには、その試合で何を確認したいのかを考えておく必要があります。

例えば、

● 投手の立ち上がりを確認したい

● バントや進塁打などの作戦を試したい

● 走者を置いた場面での守備を確認したい

● 下位打線からチャンスを作れるか見たい

● 控え選手の実戦経験を増やしたい

このように目的を持って試合に臨むと、結果だけでは見えないものが見えてきます。

勝った、負けたという結果も大切ですが、それだけで評価してはいけません。

負けた試合でも、練習してきたプレーができたなら収穫があります。

反対に勝った試合でも、課題がたくさん見つかることがあります。

指導者は、試合の結果と内容を分けて考えることが必要だと思います。

⑤ 選手の気持ちをどう乗せるか

ここは、指導者の腕の見せどころだと思います。

同じ練習試合でも、選手への伝え方によって、試合に向かう気持ちは変わります。

例えば、強いチームと対戦するとき。

「今日は胸を借りるつもりで頑張ろう」

これだけでは、選手によっては最初から受け身になってしまうかもしれません。

そうではなく、

「今日は相手の投手の速いボールにどう対応できるか試してみよう」

「守備では、相手の足の速い選手をどう抑えるか考えてみよう」

このように、具体的な目標を持たせることが大切です。

反対に、自分たちと力の近い相手との試合なら、

「今日は自分たちの野球をしっかり出そう」

「今まで練習してきたことを試合で出してみよう」

そんな声掛けもよいと思います。

相手によって、試合の位置づけを変える。

そして、選手が前向きに試合へ入れるようにする。

選手を試合に向かわせるのも、指導者の大切な仕事です。

⑥ 練習試合を組むことも指導の一つ

練習試合は、相手チームとの関係や移動時間、会場の都合などもあり、簡単に組めるものではありません。

だからこそ、せっかく組んだ試合を無駄にしたくありません。

大会までの流れを考える。

自分たちの実力を考える。

選手の状態を考える。

そして、その試合で何を経験させたいのかを考える。

こうしたことを意識するだけで、練習試合の価値は変わってくると思います。

強いチームと試合をすることだけが、よい練習試合ではありません。

自分たちに必要な経験ができる相手と試合をすること。

そして、選手が自信を持って次の練習や大会に向かえるようにすること。

練習試合は、相手を選ぶところから始まっている。

私はそう思っています。

指導者の考え方一つで、同じ一試合でも選手にとっての意味は大きく変わります。

大会で選手が力を発揮できるように、練習試合の組み方にも工夫をしていきたいですね。

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